kenny_desuのひとりごと

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寿美菜子 Zepp Live Tour 2018"emotion" 大阪公演に寄せて

表記の公演に参加してきた。都合が合うのが今回と翌週の東京のみだったため、大阪まで出向くこととなった。
以下、感想をダラダラと書き連ねていく。立場としては、それほど熱心なファンというわけでもなく、率直に感想を述べているのみである。基本的には褒めちぎるタイプなので併せてご理解いただければ。


アルバム「emotion」では、曲間の移行にスピード感を持たせ*1、曲の羅列ではなく"ライブ感"があふれる仕掛けとなっていた。
アルバム単体として聴いた時の完成度が高く、アルバム新規曲の6曲すべて本人が作詞を手がけた*2こともあり、構成面をライブではどのように見せてくるのか、 新規曲をどこで投入してくるのかといったところを楽しみとしていた。



一面に幕が張られ、「emotion」の文字が写し出されていた。開演とともに文字が動き出し、演者の姿が投影され、文字通り幕が開ける。
1曲目は「Sun Shower」からの切り出しとなった。アルバム新規曲の中では王道的な盛り上がり曲に位置付けられる曲とは思うが、早々に投入されることで一気にボルテージが上がった。
続いて「ミリオンリトマス」。所謂"飛びポ"が多く配置されているこの曲が連続して披露されることで、開幕から気持ちを沸き立たせ、こちらにも後先を考えない"全力"を要求してくるような選曲と感じた。
「Bye Bye Blue」ではスタンドマイクを使用したと記憶しているが、最初の2曲で会場を温めてから魅せる要素を盛り込んでくるのは引き込み方が秀逸と感じた。ステージ後方に配置されていたライトがさながら後光をさしているような位置に見えていたこともあり、一種の神秘性すら感じていた。

3曲終えて最初のMC。大阪は前回のツアー(Tick Tick Tick)でも立たせてもらって3年ぶりであること、最近だとスフィアでのライブ*3豊崎さんのライブ*4を見る時に大阪に来たことなどを話されていた。
個人的な話としては、2月*5にも大阪に来ていたし、先月も足を運ぶ機会があったため、それほど久しいわけでもなかったが、生まれた土地ではあるしその他にも思い入れがある所なので、縁のある土地というのはいつであっても何かしら心持ちに影響するものがあるなと思いを馳せていた。
チョコバットを箱買いしてホームランが出たらそのスタジオさんのTシャツが貰える」とのことで、中々当たりがでなかったが今日スタッフさんが当ててくれたというような話もあった。自身の記憶を遡ってもホームランした記憶もあまりないし、引き当てるのは中々の強運だろうなあなどよく分からないことを少しばかり考えていたが、そんなとりとめのない話もありつつ次のブロックへと進んでいった。

「アンブレラ・アンブレラ」では傘を小道具として使用していた。1番の段階では閉じていたが2番に入るところでサッと開いていた。ちょっとしたことではあるが、非常に自然な流れで行っていたように見えたので、細かい部分でも隙がないように演出として組み込んでいたのだろう。
そのまま「I wanted to do」に続いたが、目の覚めるようなカットインであり、アルバム音源で感じていた"ライブ感"がここで襲いかかってきた。ラスサビ前の即死級のとある音が足りなかったような気もするが勢いに押しきられていた。
「Candy Color Pop」ではお立ち台を使用していた。たまたまお立ち台が目の前に置かれていたこともあり、自分自身振り返ってみても変なスイッチが入って相当気持ち悪い笑顔になっていたと思う。
「LOVE JOY FUN」。確かこの曲は戸松さんをイメージして歌詞を作ったという話があったと記憶しているが、正直そんなことを考えている余裕がなく、見事に畳み掛けられていて降参という感じであった。ひたすら音に身を委ねる時間となった。

転換を経て会場限定枠であるメドレーコーナー。大阪公演は「Believe ×」→「Brand New World」→「STRIDE」。
個人的にはメドレー尺は普段あまり好みではないが、そんな個人的嗜好はどこはやら、惜しげもなく投入される好カードたちに考える猶予も殆ど与えられず圧倒され続けていた。比較的好きな曲が並んだこともあり、当たりを引いたという感じであった。

MC。「今回あまり休む場所がないので自分のペースで、疲れてきたら休んでもいいよ」という配慮や、普段あまりしないようなヘアースタイルの工夫といった話を切り出していた。
今回のツアー4公演が毎週連続で行われていることにも触れ、「あっという間だけど、毎週会えるからこそ嬉しい」というような話もあり、体感としては物凄い勢いで終わっていくのだろうけどその分濃厚な時間になるのだろうし、刻んでいくものがあるのだろう。週末に絶対的な楽しみがあると平日の生活にも張り合いが出ると思うし、現に絶対的な楽しみの最中にいる人々は今が本当に楽しいのだろうなあと。
続けて、大阪での思い出にも触れていた。子役の頃からレッスンやお仕事の度に来ていたが、「自分のライブでこれるなんて夢のようで...」とかUSJけいおん!のイベントで行ったことなどを挙げられていた。思い出深い特別な場所のひとつであることは間違いないのだろうし、ひと味違う思いが詰まっているのだろうと想像を巡らせることとなった。こうした過去の話を切り出しながら、次のブロックへの導入となる話が始まった。「その頃(子役時代)にこの曲があったら救われてたのかなとか思ったり、今悩んでいる人にも上を向きたくなる、前に進みたくなるようになったら嬉しい」という思いを乗せて「feel in my heart」が披露される。これまでの流れとは打って変わり、聞き入るブロック。
続けて「タイムカプセル」が歌われる。ステージセットに腰掛けるなど、視覚的な要素でも引き込むものがあった。目線の残し方が印象的であった。

転換を挟み「black hole」が流れ出した時には、ここから一気にスパートをかけていくのだろうと予感した。この辺りから記憶もかなり曖昧になっていくが、それだけその瞬間に身を委ねていたのだろう。
「カラフルダイアリー」をこのタイミングで仕込んでくるのは天才のそれであったと思った。
「"YES"」でますますと勢いを増していく。サウンドと歌声にコテンパンにされ、終盤のラストスパートの強度が尋常ではないことを確信する運びとなった。
「Ambitious map」では間奏部分での振り付け講座を織り混ぜつつとなった。横を向いてワイパー(クソコールではない方)をさせるのは真意がいまいち汲み取れない部分はあったものの、曲そのものは2月のステージで披露済みであったことを鑑みて、遊び心が加えられたということで一旦は理解した。演者からステージ以外の方向を向くように促されることは中々ないため、新鮮な感覚ではあった。
昨年のスフィアのツアーでも要所で襲いかかってきた「girly highester!」のイントロを認識したあたりはまともな記憶が残っていないし、自分の行動についてむやみに書くことは憚られるが、Aメロで予定外の推しジャンを発動*6してしまうくらいには心の中に熱いものを感じていた。
大変高揚した状態での「Another Wonderland」は熱さ冷めやらぬ中、更にはしゃぐこととなった。ありったけの力をここに置いてこいと言わんばかりの畳み掛けるような流れと煽りによって、いよいよ大詰めということが頭の片隅に浮かび、少しばかりもの寂しい感じもした。
「Piece of emotion」はギター弾き語りなんかしたら面白いだろうな、と思っていたら暗転中にギターの用意が始まり本当に実現してしまった。「前を向きたいって気持ちを重ねてくれたら嬉しいなって、そんな一曲です」という感じのことを話していただろうか、そんなMCを挟み曲へと移行する。終盤、怒濤の追い込みから蓄積された"エモーション"を噛みしめながら聴いていた。じっくりと聴いていたい気もするけれど、これは身体を揺らしながら、気持ちの赴くままに感じ取るのが正解なのだろう。

程なくしてアンコールは「ミュージックスター」から始まる。ここへ来て強力なカードを切ることができるのも強みのひとつなのだろう。掛け合いが心地良かった。
MC。アンコール用にアレンジした会場限定Tシャツの話、商品コラボの話、会場ごとに別の内容で行っているというバンドメンバーとの話を挟み、来週がいよいよファイナルであることに触れ、「みんなと一緒に作れた時間が幸せです」という旨の挨拶を経て最後のナンバーである「ココロスカイ」へ。明日を予感させる歌詞ともマッチして非常に清々しい気持ちで終演となった。


アルバムを引っ提げたツアーということで、アルバム収録曲を中心とした構成でありながら、既存曲の差し込み方にもセンスを感じた。
更に、アンコールに突入するまでにアルバム曲を全て使いきっていることも非常に好印象であった。特定のアーティストやコンテンツに限らず、アンコールを含めてひとつのライブとして完成するセットリストを組む風潮があると感じていて、ライブに行く以上はそれ自体はある程度受容する必要があるが、今回のセットリストは披露すべきアルバム曲がアンコールまでに全て披露され、ライブとしても一度完結する構成になっていたと思う。
実態は予め用意されているものであっても、アンコールを含めて始めて成立する構成ではなく、付加的な再演として機能していたと感じ取った。

所謂"盛り上がり曲"が多めの内容ではあったが、歌い上げる曲や小道具を使った演出、ダンスやバンドメンバーとの絡みを織り混ぜた見せ方も、練習を重ねた上でのものとは承知しているが、危なげなく当たり前のようにこなしていることも併せて、総合的なスキルの高さを改めて実感することとなった。バンドメンバーが前面に出てくる、ライブハウスならではといった演出も活かされており、Zeppでありながらも椅子が敷き詰められていたということを感じさせない、熱量と存在感を全身で体感するライブであった。

個人的には残せるものはなるべく残したい性分であるので、今回の公演が映像化されない*7ことに惜しさを感じ、形として残して振り返ることができるに越したことはないとは思うものの、記憶の中だからこそという美しさやエモーションもあるだろうし、そうした部分を大事にしていきたいと思わせてくれるものだったと思う。

自分自身振り返ってみて、流れてきた音楽を直感で感じ取って身を委ねるという、非常にシンプル、原始的とも言うべきか、いずれにしてもそういった楽しみ方をしていたと感じる。本稿を上から読み返しても「楽しかった!おわり!」の1行で済む内容をダラダラと書き連ねてきた。
音を楽しむのが音楽、というのは一説では単なるこじつけであったと記憶しているし、そもそも"楽しむ"とは何なのだろうという問題もあるが、様々な要素を削ぎ落としていった時に中心部分に残る"何か"を改めて探る良い機会となった。

今週末6/3(日)にはZepp Tokyoにて千秋楽*8を迎える。
都合が合えば、"何か"を探しに来るのも良いのではないだろうか。きっと手がかりは得られるだろう。

今回はここまで。

*1:シングル収録時よりも尺を1~2秒程度削ることで実現していた

*2:https://akiba-souken.com/article/32764/?page=2

*3:Sphere live tour 2017 “We are SPHERE!!!!”大阪公演

*4:豊崎愛生 Best concert tour 2017~live your Best~

*5:TrySail Second Live Tour "The Travels of TrySail" calling at Osaka

*6:推しメンパートか任意のパートが物凄く好きという場合以外には基本的にしないしそもそも滅多にしない

*7:4/6(金)の公式LINEにてその旨発信があった

*8:https://sphere.m-rayn.jp/contents/144893